【デンマークの無料の医療の実態】
Hej! どうもこんにちは!さくらんぼです。
ご無沙汰しております。
今回は、「デンマークの無料で受けられる医療の実態」について。
1年間、住民としてデンマークに暮らしてみたからこそ感じた事を書きたいと思います。
[これが私の最初のイエローカード]
住民票のようなものが送られてきます。
この保険証には
自分の家庭医の名前、連絡先、病院の住所、
自分のCPR No.(市民番号)などが記されていて
病院での診察を受けるにはこのCPR No.が必要。
家庭医が決まっているため、軽い病状の時はそれぞれ決まっている小さな病院へ行く。病状がひどかったり、さらなる検査が必要だと判断された場合は
市の大きな病院へ通されるという流れなのです。
このように、一見効率がよさそうに見えるこの家庭医制度なのですが、
実際こちらに暮らしていて私や周りの友達の経験したことは
予想していたものと少し違っていたので以下に書いていきたい。
1.消えた私の家庭医
初めて自分の家庭医で診察の予約を取ろうととした時、
自分のイエローカードに記された電話番号にかけてみると
録音音声: Vi er lukket %#<|=〒×....
私: ん?なんだこれは。
急いでる口調でデンマーク語の音声メッセージが入っていた。
デンマーク人の友達になんて言ってるのか聞いてみると
「あ~なんかこの病院、数日前に急遽閉めることになったって言ってるよ~」とのこと。
「えぇ〜!担当の患者に断りなく、急に勝手に病院閉めちゃうの!?家庭医って人の健康に関わるとこやのにそんな自由に休んじゃっていいんかい!笑」
その他デンマーク人の友達に聞いたところ
家庭医に電話しても「バケーションに行ってます」との伝言メッセージだけ残されていたり、
直接病院を訪ねても全く人気がなかったりみたいなことは割と日常茶飯事らしい。
自分の意思で家庭医を変えるには2000円程かかるのだそうだが、
医師側の都合で家庭医を変更せざるを得なくなった場合は無料で手続きを行ってくれる。
København kommuneという市民センターのような機関に連絡をして
新しい家庭医を取り付けてもらった。
その結果、
私が住むコペンハーゲン内には割り当てられる家庭医はもう余っていないとのことで、
家からバスで1時間弱かかる市外に位置する病院の先生が私の新しい家庭医となることになった。
結果から言うと、新しい医師には低用量ピルを処方してもらったのですが、
良心的でとってもスムーズだったし
「何なら初めからこの先生がよかった。。。」と痛切に思ったのでした。
いい家庭医に巡り合うことができれば、家庭医制度はとても有効
なのかもしれないけれど、その先生に巡り会えるとは限らないと感じました。
2. 話を盛らないと予約が取れない!?電話予約受付
家庭医家庭医が電話を受け付けているのは病院によって違うものの平日の11時から3時などでそれ以外の時間帯は予約を受け付けていません。家庭医自体は基本土日は休み。
112これは救急車を呼びたい時の番号。デンマークでは急救急車を呼ぶのにはもちろんお金はかかりません。 1813平日の限られた時間帯しか予約ができない家庭医のアポイントメントを取る余裕がなかったり、家庭医がバケーションなどで取り合ってくれなかったりした場合やどうしても急いで医者に診てもらいたい時のために、24時間で受け付けている緊急用の番号。
しかしまた、この予約を取り付けるのが一苦労。
電話越しの会話から戦いは始まっている。
私が原因不明の38度の熱が出た後、
ずっと2週間ほど自分が持っている薬や市販薬を全て試しても扁桃腺の痛みが
引かなかったので専門家にみてもらいたいと思い、1813に電話した時の話。
1813: CPR. No(市民番号)お願いします。私: (000000-0000)です。
1813: どうされましたか?
私: 2週間前ほど38度出て寝込んでからずっと扁桃腺の痛みと風邪の症状が治らなくて薬局に勧められた薬を使っても全然効かなくて。。。
1813: 今はじゃあ熱はないんですね。ん~じゃあ休養を取ってれば治ると思います。
私: あ、え、、?でも2週間もいろいろ試して自力で治らないんですよ。だからお医者さんに診ていただきたいんですよね。
1813: んーまぁ痛いと思うんですけど、でも他の患者さんもいますし診察は必要ないと思うんで、市販の薬飲み続けてください。それでも治らなかったらまた連絡してください。(めんどくさそう)
私: あ〜そうですか。。。。(納得いかないながらも相手の雰囲気を感じとる)
1813: お大事にね。ババイ。
私: 。。。。
デンマーク人の友達にその後、1813について聞いてみると、
1813は、そう簡単には医者に会わせてくれないから病状を盛りまくって、
どうしても医者の診察を受けたいんだと何度も伝え続けるしかない。
ということを教えてくれた。
現地に住む友達から事前情報を聞いておくことはとても大切だ。
3. デンマークの病院での診察
2で説明した通り、本当に病状が辛くて薬が欲しいのであれば、粘り強く自分がどれだけ苦しいのかを1813に訴えなければならない。
その試練を乗り越え、予約をこぎつけたとして
すんなり予約した時間に診察が受けられるなんてことは期待してはいけない。
私が友達の診察の付き添いで行った時は
38度の熱で意識が朦朧としている中、アポイントメントの時間から1時間以上待たされた。
やっと名前を呼ばれて順番が来たと思ったら1分で結果が出る簡単なウイルスチェックで終了。
アポイントメントの時間から3時間ほど待たされたという話を聞くことまで珍しくない。
4.ミニマムな処置
また、出産の時の入院に関しても、ミニマムな処置が見受けられる。
大学の教授がデンマークで子供を出産した時の話をしてくれた。
デンマークの出産費は無料で妊婦さん達は市の病院か家で赤ちゃんを生む。
全ての妊婦さんが市の病院に行くわけでだから、やはり効率が重要視される。
子どもを無事産んだら、回転を良くするためにもできる限り早めに退院させられる。
2人目の出産だと慣れているだろうということで、子供が生まれたその日のうちに帰らされてしまうらしい。
そこで具体的に感じたことが2つ。
1.”本当に”治療や診察の必要な患者とは?
治療や診察が必要でない患者と必要な患者の線引きは日本よりも明らかに厳しい。
デンマークでは、医者の給料も診察代や治療費も全て国民の税金で支払われている。
その分デンマークも最小限の出費で抑えようとしているのであろう。
だからこそ、多少の風邪だと判断されると寝て治せと家に帰される。
そのかわり、骨折などの致死的な大怪我、致命的な病気などをした場合も、
デンマークの保険が降りる。
つまり、無料で手術、入院もさせてくれる。
また、出産のための入院や手術、中絶手術なども無料で行われる。
「本当に治療が必要な人たちのための医療」ではあるが、逐一病院へ行って診てもらいたいという
2.病院に対して、何を求めているのか
「健康に生きる」という基本的な人権に密接に関わってくる医療、病院だが、
デンマーク国民は生まれた時から、「ある程度の風邪なら寝て直せ」という
価値観の元で育っているため、そもそも国民にとっての病院の在り方が違うのかもしれないと感じた。
国民皆保険のおかげで比較的安く、質が高くて親身になってくれる医者がいて、基本的にいつでも診察や治療が気軽に受けられる日本の医療に慣れている私が、
デンマークで医療を受けた時に期待を下回るサービスを受けたために、
落胆してしまっただけなのかもしれない。
国も変われば、医療システムも変わる。
現地に行くまでは「デンマークの医療は無料!なんて最高なの!?」とばかり
思っていました。
良い面も発見できた中で、現地で体験してみないとわからないネガティブな部分の実態も知ることができたのでした。
それではhej hej~!